LAの「今」を代表するアーティストの一人と言えばThundercat。Kamashi Washintonとのセッション活動、Erykah Baduのアルバム「New Amerykah (2008) 」やFlying Lotusの「Cosmogramma (2010)」のベーシスト参加を経て、Brainfeeder (Flyloのレーベル)から1stアルバムをリリースして以来、LAの音楽シーン、世界のベーシスト界で最も注目されるアーティストの一人になりました。
Thundercat、Kamashi Washinton (sax)、Robert Glasper (p.)などのインストルメントアーティストが齎した大きな功績は、ジャズやファンクと現代音楽・現代文化をストリートアートのように昇華させた事だと思っています。実は、僕がLAにやってきた理由はジャズレコードの制作に携わるため。学生時代はJazz BakeryというジャズライブハウスやBilly Childs (p.)、Stefon Haris (Vib.)などの素晴らしいモダンジャズに浸かり、2011年には「Jazz for Japan」というアルバムにも関わりましたが、振り返ると2000年代のジャズシーンは技巧アート化が進んでおり、相当ハイセンスな現代ジャズファンでないと追いかけるのが難しいシーンだったように感じます。Thunder CatやKamashi Washintonは、ビバップから純モダンジャズまで様々なジャズとヒップホップを同列で聴いて「ドラゴンボール」を愛して育ったアーティスト。KamashiがNWAから影響を受けたように、Thundercatは「北斗の拳」や「サンダーキャッツ(80年代のアメリカのアニメーションで毎日そのTシャツを来てた)」を観て育ち、George Dukeも「Naruto」から同列で感化されてストリートアートのように自分の音楽表現しているんですね。音楽とは文化である、常に進化するものである、という事を感じさせてくれるアーティストです。
ラジオで流した”Funny Thing”はグラミー賞のBest Progressive R&B Albumを受賞した「It Is What It Is (2020)」からの一曲。ワクワクして、何だかお出かけしたくなるうような一曲です。